共有物を単独使用する者に対する明渡請求の可否【例外】

Question

共有物をAとBが共有しており、長年Aが平穏に共有物を占有していたところ、Bが実力で排除するに等しい方法で占有を取得した場合、Aは、Bに対して、明け渡しを請求することができるか。

Answer

先ほどの設例の場合と同様に考えれば、Aは、Bに対して、明け渡しを請求することができないように思います。

しかし、この場合について、【仙台高裁平成4年1月27日判決】は、当該建物は共有者Aが使用していたところ、他の共有者Bが共有者間の協議を経ることなく、実力で排除するに等しいやり方で従前から長年月にわたり平穏に右建物を占有してきたAの占有を奪った場合には、Bに持分権があってもその占有使用は権利濫用と評価すべきであって、AのBに対する明渡請求は許されると解されるのが相当であるとしています。

したがって、Aは、Bに対して、明渡請求をすることができます。

そのほかにも、①共有となっている通路を共有者双方が使用している状況下において、【横浜地裁平成3年9月12日判決】は、一人の共有者所有の竹木の枝が越境していて、出入りする賃借人や駐車場借主などの自動車の円滑な進行を妨げているが、そのままに放置していることが認められ、被告の持分に応じた使用の範囲を超えて、他の共有者の持分権を侵害するものと認められるから、右竹木の枝を剪除すべきであるとしています。また、②多数決のための協議を拒否したことを理由の一つとして、共有者に対する明渡請求を認めた裁判例【東京地裁昭和35年10月18日判決】もあります。

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